Saturday, September 3, 2011

我が娘、マーラ。


我が娘マーラは、18歳になる昨年春にラサール大学を卒業し、今まで続けていた女優業も引き続きやりながら、また外資系の証券会社で働いている。
だから私より金を持っている。(皆は信じないけど、これは本当の話。)
そして今回また、テレビでの大きな番組の仕事が決まり、それがこの19日からスタートするので、私と彼女のエンゲル係数はまたまた開いて行くなあ。
その母は主演した映画『キナタイ』で、フィリピン映画では始めてカンヌ映画祭の外国語部門のグランプリを獲得している。これは、田中絹代が羅生門で獲得したその賞だ。たぶん彼女は今、フィリピンの映画業界で田中絹代のような位置に居て仕事をこなしているような気がする。その賞獲得後、益々仕事の勢いは増し、昨年は東京映画祭、今年はベルリン映画祭に彼女の主演した新しい映画と共に招待を受けている。彼女は益々私にとって雲上の人となって行き、その彼女とエンゲル係数を比較するなんて恐れ多いこと。(これは、みんなが信じる。)
その娘は、今年2月に永いヨーロッパ旅行から帰って来たかと想ったら、いきなり「パパ、自分の夢が見つかった。それは日本の大学に行って勉強すること」と言って、ここの日本語学校に入り、今は朝の九時から4時までその学校に行き、夜は9時から夜中まで外資系の証券会社で毎日働いている。(その証券会社はアメリカの会社で、アメリカの証券の売買に時間に合わせるので、こんな時間帯になっている。)
マーラに、「そうか、自分の本当にしたい夢が見つかってよかったね。でも、それって夢では無く、人生の目的じゃないの」と諭すように言ったら、「パパ、人生の目的は"Spread God's Word to the World"神の御言葉を世界に広める事でしょうが」と逆に諭されてしまった。
そして、学校に仕事に本当によく頑張っている。(サーフィンもすごいよ。)
そして昨日、「その学校で弁論大会があり自分も出るので、パパ来て」と言われた。
ケンを連れて、一緒に言った。こうしてケンが私と一緒に行くという事には大きな意味がある。先ず、私はこうした子供の行事等に興味を持たない人だった。子供の学校の行事等に参加するのは苦手を通り越して、苦痛、いやそれ以上の虐待を受けているかのような心理状態に私に私をさせるものだったから。
しかし今は違う。心から行きたいと想った。行って彼女をサポート(応援)したいと想った。
ケンも素直に付いて来た。(これまた、珍しい事を通り越して、奇蹟だ。)ケンは、最近よく私になついて、一緒にサーフィンに行ったり、一緒に過ごす事も多い。一昨日の夜は、私の部屋に来て随分遅くまで一緒に映画を観た。
(今私には、多くの奇跡が起こっている。目の前で、山が動いているのが見える。)
ところで、その弁論大会に行く道すがら、このマーラと同じ二十歳(ハタチ)の頃に自分は何をしていたかを考えた。いい女とやる事しか考えていなかった。(本当に、、、。)
それに比べて、この娘は、インディー系とは言え既にハリウッドの映画にも出てヒロインを演じ、人生をしっかり見据えこうして弁論大会にも出ている。
私は弁論大会とか勿論選ばれた事も出た事も無い。ハリウッドの映画にも勿論出た事が無い。(行った事はあるけど。)波乗りだって、二十歳の頃はまだ始めていなかったよ。この娘は、私がハタチの頃にやっても居ない事を、いや私が人生の中でやった事が無いような事を、既に多く行っている。それも、まったく当たり前のように自然に。自分が大それた事をしているとか、自慢をしたりする態度は微塵も見せない。(だから、こうして父が変わりに自慢をしている。その度に「パパ、やめてよ」とマーラにいつでも諭されている。)
さて、マーラはその弁論大会に出て語り、優勝した。
何と内容は、サーフィン。しかも、タイトルは「波乗りと精神」。こいつは私が書く者や送るメール等、まったく興味を示さず、見ていないと想ったら、ちゃんとみているじゃなか。そうでなければ、こんなタイトルと内容は話せんだろう。
下記にそのスピーチを書き記す。
マーラ、お前は我が娘ながら、本当にたいした娘です。(尊敬と涙)









ソウルサーフィン(波乗りと精神)
横浜 マーラ









私の一番好きな事はサーフィンをする事です。私が6歳のときに、父がサーフィンを教えてくれました。それから、父とよく海にいき、サーフィンを しています。人のいないところで、父と二人だけで、サーフィンをする事が好きで、それを私たちはSoul Surfing とよんでいます。
Soul Surfing のSoul とは日本語で魂の事で、サーフィンをただのスポツではなく、もっと精神的な修行と考えてやる事です。ですから、日本のさむらいたちの修行に似ています。宮本武蔵のように。
私の父は、フィリピンで初めてサーフィンのスクールをひらいたひとです。フィリピンのサーフィンの世界ではGuru, つまり教祖とよばれています。父はそのSoul Surfing について今、本を書いています。

サーフィンをしてる時に、私はすべての悩みを忘れます。
その瞬間は、私と波だけ。そして、他の何もかも忘れます。しかし波に乗っている時にどんな気持ちでいるか説明は必要の無い事のように想えます。それは、本当のサーファーだけがわかる気持ちだと想うから。
私にとってサーフィンとは、本当に神様からの贈り物だと想います。
サーフィンは私にとって趣味以上の物です。私の情熱のすべてだといっても過言ではありません。
サーフィンを終えて街に戻って来て、海からはなれて入れても、悲しい気持ちにはなりません。
それは、すぐにまた海に戻れる事が分かっているから。
将来は、海の前に家を建て、死ぬまでそこで暮らし、ズーとサーフィンをしたいと思っています。
サーフィンは、わたしにとって自分の魂をみがく、そのようなだいじなものです。






そして、これを書いて今しがたフィリピンで唯一発行され宅配をしてくれる「マニラ新聞」が手元に届いた。
その新聞の一面に、我が娘の上記の事が書かれていた。
「スピーチコンテストで、日本語教室に通って3年になる日系2世の横浜マーラさん(20)は、趣味のサーフィンを「人間を磨くとても大事なもの」と紹介、「将来は海の近くに家を建て、死ぬまでサーフィンをしたい」と、日本人の父から習ったサーフィンへの情熱を流ちょうな日本語で語った。」
また、マーラは私をひとつ超えてしまった。(だって、ハタチの頃に新聞にでた事は無かったもん。でもその後は、良い事でも悪い事でも数多く新聞の一面を飾っていますよ。)






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